東京の"奇祭" - 『雷の大般若』

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 赤やピンクの華やかな長襦袢。
透き通るようなオシロイに、ほんのり赤い頬紅と真紅の口紅。

  思わずうっとりしそうなくらい美しい、そんな「艶姿」の"男たち"が街中を駆けるお祭り。それが、東京・江戸川区の東葛西地区に伝わる「雷の大般若(いかずちのだいはんにゃ)」だ。



  毎年2月末の日曜日に行われるこの祭り。
東京でも有数の「奇祭」とされるとあって、一体どんな祭りなのか、この眼で確認すべく早朝から現場へと駆けつけた。
(2009年2月22日)

  現場に到着するやいなや、目に飛び込んできたのは、映像でご覧いただける通りの艶やかな男たちの姿だ。

  想像していた以上の美しさ。
化粧のノリも抜群で、思わず見とれてしまう。

  そして、そんな彼らが、「おめでとうござー!」

と雄たけびをあげながら街を走り回る姿は、艶姿とは対照的に、たくましい男のそれに他ならない。

  艶めいた美しさと、荒々しい男らしさ。
一見両極端な要素が絡み合って繰り広げられるこの独特な祭りの由来は何だろうか。

                 ・・・・・・・ ◆ ・・・・・・・


 「雷の大般若」の発祥は、江戸時代末期。

コレラが蔓延した時世、地元の和尚が大般若経を背負って家々をまわったところ、被害が出なかったことがきっかけとされている。

近代に入って長く衰退していたが、1976年に地元有志らが復興。82年には江戸川区の指定無形民俗文化財にも選定されている。

2人1組で担ぐ大般若経の重さは実に1箱50キロ。
「不動明王の宝剣」という2本の巨大な剣も、かなりの重量のようだ。

  そんな担ぎ手たちを先頭に、ざっと数十人の男衆が、朝9時から夕方4時ごろまで地域の家々を巡って、玄関先でお祓いと手締めを行う。

  参加者は、見たところ、10代20代の若者というより、30代以上のお父さん世代が中心。日々、家族のために額に汗して働き、体力の曲がり角も迎えた世代にとって、この祭りの行程は相当ハードに違いない。

それでも、お父さんたちの表情は生き生きとして心の底から祭りをエンジョイしているようだった。ともに参加し、地域のために一致団結した仲間たちとの絆は、決して浅いものではないように思える。

  父親の応援にきた奥様や娘さんは、遠巻きから戸惑いながらも、我が夫、我が父の艶姿を見届けていた。
まだ幼い娘さんなどからは、「やだ」「キモーイ!」という悲鳴にも似た声も聞こえてきたが、記者には、それがお父さんへの愛情と応援の裏返しのように感じられた。

それほど、この日のお父さんは強く、美しく、"キマって"いたのだ。

  地域社会のつながりの希薄化が叫ばれて久しい。
この「雷の大般若」も、街の人々すべてが認知し、参加しているというわけではないようだ。都内在住20年の記者も、これまで祭りの存在を知らなかった。

  日本全国津々浦々、それぞれの地域に、まだまだ埋もれている宝がある。そんな日本の文化の底の深さと、足元の宝を発掘、活用していくことの有用性を教わった一日だった。

  それにつけても、やっぱり祭りは楽しい!

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