バブルの殿堂『ジュリアナ東京』 完全復活の夜に密着!!

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「ジュリアナーーーズトーーキョーーーー!!!!」
この叫び声を真似できる方は、あの『バブル』を知っている方、といっても過言ではないのではないだろうか。それほど、熱に浮かされた"あの時代"の象徴といえるのが『ジュリアナ東京』だ。

  その伝説の巨大ディスコが、一日限定(平成20年9月6日)で復活すると聞きつけ、早速会場の『Differ有明』に駆けつけた。



 現場では開場までまだ数時間もあるというにも関わらず、色とりどりのド派手な衣装に身を包んだ人々が長蛇の列をなしている。

  かつてジュリアナに通いつめていたというバブル世代、今でいうアラフォーの方々はもちろん、ジュリアナに一度行ってみたかったという20代、さらには明らかに50代以上と思われる方たちの姿もちらほら。

  一方会場では、かつての「お立ち台の女王」、荒木師匠や元CCガールズ(といって若い方はお分かりになるだろうか・・)の青田典子さんらのマスコミ向け会見などがにぎやかに執り行われ、ジュリアナ復活のその時への期待と興奮は高まっていく。

  そんな中、記者は、アラフォーな荒木・青田の両氏と、その2人を背後から取りかこむ明らかに一回り以上年下であろうギャルたちとのギャップに目も心も奪われていた。

ギャップとは、必ずしも年齢差からくる見た目だけではない。このイベントを盛り上げるべく、気の利いたコメントを懸命に繰り出そうとする荒木氏と青田氏に対し、若いギャルたちのやや冷めた空気と表情・・

すっかり大人になり、仕事や人生の厳しさも知り尽くしたであろう2人と、女としての若さを武器に、まだまだ子供でいられるギャルたちのあどけなさと、ある種の余裕。
こんな対比にも、あの時代は遠く過ぎ去ったのだという現実を改めて思い知らされる。


  午後7時、いよいよ開場のときを迎える。
当時のジュリアナ東京を忠実に再現したという館内はまたたく間に人々で埋め尽くされ、お立ち台もあっという間に満杯状態。当時「ジュリ扇」と呼ばれた扇子片手にボディコン女性たちのフリフリダンスがあちこちで繰り広げられる。

  フロアに目を向けると、だいぶ髪の毛が薄くなった男性や、メタボな男性、"ドレスコード"が幅を利かせた往時をしのばせる白いスーツ姿の男性など、明らかに中年に差し掛かった、いや中年ど真ん中の男性諸氏も奮闘。

  会場全体がヒートアップする中、DJブースにあのジョン・ロビンソン氏が登場し、例の雄たけびをあげると興奮は最高潮へ。荒木・青田両氏のダンスバトルなる出し物も披露され、ここで我々メディアの取材時間は終了と相成った。



  ・・大勢の報道陣とともに盛り上がる会場を後にする。
外に出ると、日はもうとっぷりと暮れていた。涼しい夜風が頭を冷やし、急に現実に引き戻される。バブル時代を再現したかりそめの空間を一歩出れば、そこにあるのは、やはり、まぎれもない平成20年の"現在"だ。

  会場の外には、入りきれずに締め出しをくらったお客さんたちが群れをなしていた。
「これだけ客が集まるのなら、本当にジュリアナを復活させればよいのでは」
という思いが一瞬頭をよぎるが、すぐさま否定する自分がいる。

  バブル崩壊からいわゆる「失われた10年」を経て、実感のない戦後最長の好景気、そしていま再び日本を覆い尽くす停滞感。
現在の日本に流れる空気と、ジュリアナ内部の熱気とのあいだにも、愕然とするほどの"ギャップ"がある。

  お酒、ブランド品、クルマなど、バブル時代の若者たちが渇望した代表的なモノのどれをとっても、現在の若者たちは急速に興味を失っているという。
若者たちは保守化し、安定した職業、年功序列の賃金を受け入れ、遊ぶのは家や近場という志向も強まっているようだ。
  消費のスタイルや価値観はますます多様化し、若者の数そのものも減る一方のいま、これから何年たっても、ジュリアナは決して復活しないだろう、あのエネルギッシュで、華やかな時代は2度とやってこないだろうという思いを強くする。

  欲しいものも、目指すべき"お立ち台"も存在しないことは、
いまの若者にとって幸せなのか、あるいは不幸なのか・・
そんな若者たちの姿は、現在の日本の姿にも重なってみえる。

  分かりやすい道しるべがないがゆえに悩み深い今という時代に、改めて思いをはせたジュリアナ復活の夜であった。

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