こんにちは。新たな年度になって、はや一ヶ月が過ぎてしまいましたね。あっという間の4月でした。年々、この4月という期間が短くなってきているような気がするのは私だけでしょうか。
今回は、横浜の芸術系イベントの拠点であるBankART 1929 YokohamaとBankART Studio
NYKで、4月6日から5月6日まで開催されていた「地震EXPO(エキスポ)」の一環である『坂本廣子料理教室 サバイバルクッキング』というものを取材して参りました。
この地震EXPOというイベント、簡単に説明しますと、地震大国・日本で近年懸念されている大地震に備えて、色々考えてみましょう。というイベントです。ただ、講義だけじゃつまんない!ということで、来場者参加型のイベントを数多く行い、アーティストやデザイナーの方達と一緒に、楽しみながら防災の知恵や知識を身につけよう、といった感じのものです。
それにしてもなぜ、地震と「アーティスト」「デザイナー」?と思われるかもしれませんが、この地震EXPO、よくある型通りの防災イベントではなく、想像力や創造力を駆使して変幻自在にカタチを変えていく、新しい防災のあり方をテーマにしているものだから、なのです。
今回私は「サバイバル・クッキング」に注目したのですが、その他にも地震の時の悲惨な様子を記録した写真の数々や、阪神淡路大震災の発生直後に流れた生々しいラジオ放送、デザイナーの方がデザインしたユニークかつ多彩な防災グッズの展示販売、チューリップフロープロジェクト(大岡川桜浅橋からBankART Studio NYKの河岸へ向けて、チューリップを使って作られた様々な船が流れていくというイベント)など、なかなか興味深いものが沢山ありました。
では、本題のサバイバル・クッキングです。
講師の坂本廣子先生は、阪神淡路大震災の時に実際に被災された方で、その辛く悲しい経験を通じて感じたことや、学んだことを、"災害を生き抜くためのクッキング"という観点から具体的に教えて下さいました。
その内容は、
・ポリ袋などで手を覆い、ばい菌が食材につかないようにする『紙一重調理』の実践。(とにかく、ポリ袋は調理時、食事時など、様々な用途に使えるので常備しておく)
・お皿は新聞紙とホチキスでつくり、中にアルミホイルを敷く。
・乾きもの食品を常備しておき(特に海苔は栄養やミネラルが豊富)、水で戻す際にはポリ袋の中で戻し、余った水は他の用途に使えるので戻す。
などでしたが、どれも先生の体験談を交えてお話しして下さるので、非常に興味深く聞くことが出来ました。参加者の中には熱心にメモをとっていらっしゃる方や、先生が遭遇した被災時の悲しい話などに涙ぐむ方もいらっしゃいました。
お話の中で、先生が一貫して強調していらしたのが水の大切さでした。調理をするにも、手を洗うにも、飲用にも、被災時にはとにかく水が何より貴重だとおっしゃっていました。日頃からペットボトルに水をためておくといいそうです。(腐りにくいようにペットボトル一杯に水を入れ、花の水やり等でそれを使用し、たまに新たな水と入れ替えると良い)
また、私が特に記憶に残ったのが、子どもの脳についての話でした。子どもの脳は常に栄養が行き渡っていなければならず、後から補給すれば良いというものではないので、被災したときも子どもに多くの栄養を与えないと脳の発達が不十分なまま体だけ成長してしまう。といった内容でした。
被災時は食べ物が少ないという現実があり、主に救援活動をしたりするのは大人なのに、子どもの為に多くの栄養を分け与えなければいけない。この矛盾にも被災者がいかに大変な現実をくぐり抜けなければならないか、といったことを改めて感じました。よく言われることではありますが、大きな災害に遭遇したときには、本当に日頃の備えがそれこそ生死をも分けてしまうのです。
ちなみに、最近起こった地震で思い出されるものというと、新潟県中越地震と能登半島地震。新潟県中越地震の方は、マグニチュード6.8、最大震度7、死者実に67人といった甚大な被害があった地震でした。しかも11月下旬という寒い時期に起こったので、被災された方は本当に大変だったと思います。能登半島地震もマグニチュード6.8、最大震度6強、死者1人の大きな地震でした。
日本は地震の多い国なので、まだまだ今後も大きな地震が来ると予想されています。その中でもかなり心配されているのが、東京など首都圏での大震災ではないでしょうか?この震災は、2006年(平成18年)から2036年(平成48年)の間に、70%の確率で関東地方に発生すると予想されている直下型の大地震で、マグニチュード7級と想定されているものです。日本の人口の約1割が集中する東京でこの地震が起こったらどうなるでしょう?想像するだけでも恐ろしいですね。
なにやら、この地震の際に新宿のいような超都心にいると、地下にいた人なども地上にワッと溢れ出し、こけたりしようものなら人に踏まれて圧死してしまうほどの混乱が予想されています。2005年に発表された中央防災会議の報告によると、被害が最も大きい場合、死者13,000人、負傷者170,000人、帰宅困難者6,500,000人、全壊の建物850,000棟、避難者総数700万人、経済への被害112兆円と、今の日本にとてつもない被害を及ぼすと想定されている大震災なのです。
あの阪神淡路大震災の死者は6,434人だったので、その倍の死者数が予想される東京大震災、想像するのも恐ろしいです。
日本とは切っても切れない関係ともいえる地震ですが、ちなみに日本最古の地震の記録はいつ、どこで起きたものなのだろうと、調べてみますと・・
西暦416年8月23日
遠飛鳥宮(大和国/現・奈良県明日香村)での地震。日本書紀に「地震」の記述があり、これが日本史上最初の地震の記録として残っています。さすが地震大国ニッポンですね。こんなに古くから地震の記録がのこっているとは。
ちなみに、その地震大国に住む私たちニッポン人ですが、日頃どの程度地震に備えているのでしょうか?
社団法人中央調査社が2005年10月に行った地震に関する世論調査(調査は全国20歳以上の男女2,000人を対象に、面接聴取法で実施し、回収率は70.0%)によると、「自分の住んでいる地域で、大地震が近く起きるのではないかという不安を感じているか」という質問に対し、「強く感じている」と答えた人の割合は27.8%(前回17.0%)、「多少感じている」は47.4%(同47.9%)で、これらの合計、いわば不安者層は75.2%と前回の64.9%より10.3ポイントも増加しています。これは、阪神大震災直後の95年2月の調査における69.1%をも大きく上回っています。(前回調査は2003年9月)
しかし反面、「地震に備えて対策や準備をしているか」という質問に対しては、「していない、わからない」が49.4%と前回の55.7%を6.3ポイント下回っています。これは、テレビやその他メディアで地震特集が組まれたりして地震に対する不安や関心は高まっているものの、阪神大震災から年数が経って被害の記憶が風化していった為にこういった結果が現れたのだと思います。
ですが、この結果は1年半ほど前の調査なので、今はもっと地震に対する不安感を持つ人も、その準備や対策に余念がない人も増えているのでは、とも思います。
最終的に地震EXPOを取材しての感想ですが、やはり地震は恐ろしい!この一言に尽きると思います。私はまだ運良く大地震と呼ばれるものを体験したことが無く、実際の被害やその悲惨さをデータ上や、紙面上でしか見たことが無いのです。そんな私ですら、建物の倒壊、食べ物の不足、避難場所の確保等、非常に恐怖を覚える地震。最近では地震予知システムの開発も進んでいるとはいえ、まだ十分ではありません。日頃から防災意識を高め、避難セットや非常用袋などを用意し、いつ大地震が来ても慌てず行動出来るように心がけることが大切だとつくづく思いました。
また機会があれば家族や近隣の方と少しでもいいので避難経路の確認などの防災訓練をしてみる、なんていうのも効果的ではないでしょうか。きっと、実践するとしないとでは大違いだと、今回の取材を通じて思い知りました。
地震EXPOホームページはこちら
http://www.plus-arts.net/jishinexpo/index.html
それではこの辺りで。
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