巨大ロボットが火を噴き、街を練り歩く!
幼い頃、怪獣モノのテレビ番組で見たような光景が目の前で繰り広げられる。
それが、東京のど真ん中、六本木で行われた一夜限りのイベント『六本木アートナイト』だ。(平成21年3月28日(土)・29日(日))
森美術館やサントリー美術館、国立新美術館が集積し、夜の街の顔に加えて、アートの街の色合いも濃くしている六本木が、アートカルチャーの発信源としての存在感をアピールすべく開催された今回のイベント。
六本木の街を丸ごと巨大な展示スペースととらえ、国内外の著名アーティストたちが多種多様な作品を展開したのだが、中でも目玉の作品が、映像でもたっぷりとご紹介しているヤノベケンジ氏の『ジャイアント・トらやん』だ。
全長7.2メートル。
観客の声に反応して、宇宙語(?)をしゃべったり、「森へ行きましょう」を歌ったり(森ビルだけに・・)、怒りの炎を吹き出したりと、そのおちゃめさと迫力は見ごたえ十分。
炎を吹いたとたん、あたり一面には熱気が充満し、子供も大人も思わず「おーっ!」と声を上げてしまう。
「ネット時代だからこそ、カラダで感じてほしい」
というヤノベさんの狙い通りの反応が会場全体にうねりのように広がった。
そのヤノベさん、作品だけでなくご本人のキャラクターも茶目っ気たっぷり。
抱腹絶倒!とは言わないまでも、微笑ましいトらやんとの掛け合いもぜひ映像でお楽しみいただきたい。
トらやん以外にも、映像(後篇)の中でその幻想的な雰囲気をご紹介した「霧とライトのインスタレーション」(作・中谷芙二子)や、光る風船を手にした1000人が街をパレードするパフォーマンスアート(作・平野治朗)などなど、興味深い作品が多く披露され、イベントには主催者側の予想を上回る55万人以上が詰めかけた。
経済的には、世界金融危機によるどん底のさなかでの開催となったが、そんな暗い世相をひとときでも忘れさせてくれたのは、日本のアートが持つ楽しさや新鮮さに他ならない。
少子高齢化の進行や中国を始めとする新興経済大国の台頭など、日本の将来をめぐる状況は決して明るくない。
でもだからこそ私たちは、今まで以上に文化やアートを積極的に海外にアピールし、文化立国としての礎を確固たるものにしていく必要があるのではないだろうか。
日本にはそんな芸術・文化のパワー、底力が十分にある。
自信を持って、上を向いて行こうよ!
そんな思いを新たにさせてくれる、ちょっと素敵な夜であった。
コメントする