最近、季節の変わり目にひきやすい風邪のせいか、はたまた花粉症のせいか、マスク姿の方が多いですね。春は何かと心躍る季節ですが、マスクが手離せない人にとっては憂鬱な時期かも知れません。
今回は、いま何かと話題のホリエモンこと堀江貴文氏についての記事です。つい先日、東京地方裁判所で堀江被告の裁判が行われましたね。判決は懲役2年6ヶ月の実刑判決(求刑懲役4年)となりました。この裁判の様子を取材してきました。
始めに、一連の事件について少し説明したいと思います。2006年1月23日、堀江被告が証券取引法違反(風説の流布、偽計取引)の容疑で、東京地検特捜部に逮捕されたことから全てが始まりました。
その後2月22日、証取法違反(有価証券報告書虚偽記載)の容疑で再逮捕。9月4日には東京地裁で初公判が行われ、11月28日までに合計26回の公判が行われました。この間堀江被告は容疑の全面否定を続けましたが、12月22日論告求刑において、懲役4年を求刑され、ついに3月16日に懲役2年6ヶ月の実刑判決が言い渡されたということです。その後堀江被告は、以前から言っていたように即日控訴し、保釈金2億円を追加納付(以前に保釈金3億円を支払っている)して再保釈されました。
これが堀江騒動の簡単な流れです。4月27日に一旦保釈された時にはげっそりとし、さすがのホリエモンもこたえたんだな?と思いましたが、近頃はすっかり元の体型に戻り、週刊誌では、美女とのツーショットを撮られるなど、以前と変わらず意気軒昂、といったようにも見えました。この辺りはホリエモンの面目躍如といったところでしょうか。
では、本題である今回の裁判の様子について。当日、寒い寒いと心の中でつぶやきながら霞ヶ関にある東京地方裁判所に行きました。そこには、案の定というか、まぁ当たり前なんですがNHKやら、フジテレビを始めとした民放各局やらの報道陣がわんさかいました。まさに今、生中継をしています!といったような女子アナの姿も見られました。
さらにすごかったのは、傍聴券を求める人たちの列の長いこと長いこと・・!裁判所の周りはもちろん、横断歩道を越えて隣りの建物へ、さらに向かいの建物へといった具合に、思わず目を丸くするほどでありました。
残念ながら私は傍聴券の抽選にハズれてしまったので、堀江被告が裁判所に入ってくる様子をビデオカメラにおさめようと正門の前で待っていました。
しかし、ここで異変に気がつきます。
......正門付近に報道陣の数が異常に少ない!何故だ!
ご想像通り、堀江被告は別の門から裁判所内に入ったようです。ビデオカメラにおさめるどころか、その姿をこの目で見ることすら出来ませんでした。急いで別の門に走った頃には既に他局の報道陣の方達は解散しようとしているところでした。無念。
しかし、ちょっと話を聞いてみると堀江被告がどこから入り、また出て行くかは他局の報道陣の方達にも分からなかったそうです。そこは人海戦術ですよね。全ての門に人を置けば必ずどこかからは出入りしますからね。こちとら少人数なので、地団駄を踏む結果となってしまいました。すいません。
今回の取材は失敗となってしまいましたが、次回同じようなことがあれば、今回の失敗を活かしたいと思います。失敗は成功の母であるはずです!
先ほどはサラリと傍聴券の抽選にハズれたと書きましたが、その傍聴券の抽選について少しだけ説明します。原則として、裁判は誰でも傍聴することが出来ます。しかし、人気のある、注目されている裁判は多くの傍聴希望者が出るため、抽選になります。その抽選に当たった人のみが裁判を傍聴出来るという仕組みです。
今回の裁判は10時開廷だったので、9時までに東京地方裁判所正門に来た人全員に傍聴抽選券が配られました。9時に傍聴抽選券が配布され、同時に結果発表へ。堀江裁判の傍聴希望者は1679人、傍聴席の数は62個。
倍率はなんと!約27倍!
ホリエモンが入った東大よりも数倍難しいですね(少なくとも倍率は)。この裁判に対する注目度が分かります。
そこで、こう考える人がいます。『なんとしても、傍聴券をゲットしたい。お金がかかってもいい』そこで、裁判には興味が無いが傍聴券をゲットする為だけに抽選に参加する、といったアルバイトが発生します。このアルバイトに参加している人に聞いてみたところ、3000円程度の報酬が支払われるようです。抽選券を貰ってただ列に並ぶだけですから、考えようによっちゃオイシイバイトですよね。
雇い主はこのようにしてゲットした傍聴券を人に売るのか、はたまた自分で見る為なのか、その用途は不明ですが、なかなか面白い現象だな?と思いました。(注目される事件のニュースで、キャスターが「私も傍聴してきました」なんて言っているのは、このシステムを使っていると思われます)
もう一つ面白いなと思ったのは、抽選に並んでいる人たちの中に沢山サラリーマンとおぼしき人が混じっていたことです。朝の9時、普通のサラリーマンならとうに会社に出勤しているか、通勤している時間です。一体彼らはどうしてここにいるんでしょう?会社を休んだ?昼からの出勤?はたまたメディア関係者?謎は深まるばかりです。サラリーマン、ギャルっぽい子、主婦層のおばさん、様々な人たちがいました。
最後に、一連の堀江騒動について私が感じたことを少し。
様々なメディアなどで、今回の事件が社会や世の中に与えた影響などが議論されているようです。事件をきっかけに、ベンチャー企業の株価が軒並み下がったり、証券市場のルールが変わったり。また、企業のコンプライアンス(法令遵守)といった考え方も、今後ますます重要視されそうな雰囲気です。
確かに、そうした部分においてこの事件は大きな影響を与えたのでしょう。でも、私が個人的に感じるのは、結局、社会全体にはそれほど大きな影響を与えてはいない、もしくは、私たちはそれほど大きな影響を受け取っていないのではないか、ということです。
ライブドアの関係者や、投資家、株を生業としている人たちにとってこの事件は衝撃的だったでしょう。しかし、それとは全く関係のない学生や、その他の若年層、主婦層などはどうでしょう?今まで、ホリエモン=タレントのような存在、といったような目で見て来た人たちも少なくないはずです。実際、堀江氏自身も自分はライブドアの広告塔、客寄せパンダであるというような発言もしています。そのタレントさんが、株かなんかで不正しっちゃったのかな?くらいの受け止め方をしている人も少なくはないのではないでしょうか。
堀江氏が逮捕され、実刑判決を受けた!という事実は誰の目にも明らかで、とても分かりやすく、理解しやすい出来事です。しかし、殺人や強盗、暴行などの目に見える犯罪が非難を浴びやすいのに対して、我々日本人というのはこういった目に見えない犯罪を軽視しがちではないでしょうか。
さらに、ライブドア事件をカネボウ事件や日興コーディアル事件と比べて、「なぜ堀江は実刑で、彼らはおとがめ無しなんだ」といった見方が一部にあるにも関わらず、そのことについてもっと深く議論しようといった空気はメディア界にも、世の中的にも、それほどわき上がっているようには感じられません。
「出る杭を打つ」現象の一つとしてこの事件が語られることもあったように、すでに私たちは、『時代の寵児・ホリエモンの転落』をひとつのエンターテイメントとして消化しつつあるのではないでしょうか。
社会の様々な事象に対して、大した深い興味や関心を持たず、要は「おもしろいか、おもしろくないか」だけで、観客の1人として右から左に受け流していく・・そんな日本人の習い性をこの事件でも感じてしまったのは、私だけでしょうか。
まあかくいう私も、そんな多くの日本人の1人、なのかもしれませんが。
裁判については堀江被告は控訴をしたのでまだまだ決着がつくには時間がかかりそうです。
それでは今回はこの辺りで。
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