インタビュー後半、シタル氏の亡命体験談です。
ただ、この話はあくまでシタル氏個人のケースであって、亡命した方が全てシタル氏と同じように亡命した訳ではない事を始めにお断りいたします。
シタル氏は、幼少期にチベットを脱出し、ネパールのムスタンを経て、大学教育を受けるべくインドへ入りました。
その後80年代に来日して以後、現在は大学の研究員やチベット仏教普及協会の副会長などとして活躍されています。
氏はインタビューの最中、かつて自分の行った亡命と現在の亡命は全く違うと仰っていました。少し前に、ヒマラヤを超えて亡命しようとしているチベット人を中国政府の官憲が射殺した様子を映したと思われる映像がインターネット上で流されましたが、現在の亡命は、昔よりも中国はもとよりインドやネパールの官憲の目が光っており、その分より厳しいものと考えられるそうです。ただ、それをかいくぐれば、インドのチベット亡命政府が待っており、様々なケアをしてくれるため、亡命生活自体に戸惑う事は以前よりは少なくなったと言えるようです。
長野での聖火リレーも終了し、メディアでの露出も減ってきたように思われるチベット問題ですが、この問題は一朝一夕では解決しようがないものです。また、日本にもシタル氏と同様の亡命チベット人が60人(チベット亡命政府発表)いて、亡命政府のアジア地区代表機関がある以上、決して日本にとって遠い問題でもないのです。それと同時に、我々日本人は、アジアにいながらも、中国やチベット双方を等しい距離から眺められ得る立場に恵まれています。それを活かして、これからも中国、チベットの将来について注目し、考える必要があるのではないではないでしょうか。
最後に、取材・インタビューに快く応じて頂いたチベット仏教普及協会の皆様と、クンチョック・シタル氏へ改めて感謝の意を表します。
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