最近の不景気や地域のつながりの希薄化によって、いま多くの商店街が衰退に追いこまれています。そんな潮流に抗うべく、東京・北区の商店街で『北区百円市』という催しが行われました。(平成21年11月14日(土))
文字通り、100円!で買えるお得な品物を各店舗が販売するというこの企画。100円の商品をきっかけに、今まで以上に地元の商店街を利用してもらうおうというわけです。
『北区百円市』のモデルとなったのは、山形県新庄市の「新庄100円商店街」。平成16年から定期的に開催され、商店街の活性化に一役買っています。新庄市ではあえて歩行者天国にせず、いつも通りの営業をするお店の傍らで100円の商品を販売することで、お店の中により多くのお客さんが入ってくれるようにしています。もちろん、今回の『北区百円市』でも同様にお店の中に百円市用の商品をおいています。
取材に伺ったのは田端銀座商店街。JR駒込駅から少し歩いたところにあります。自宅付近に商店街がない私にとって、想像の中の商店街は'地域密着型の小売店が立ち並ぶ通り'、という感じでしたが、田端銀座商店街に着いてみると、まさにそこは私のイメージ通りの商店街!昔ながらのお店が並ぶ、なんだか懐かしさが湧くところでした。
いざ、お買いもの開始!500円でどれぐらいのものが買えるかに挑戦です。
やはりわざわざ百円市というイベントをやるだけあってどのお店もかなり割引しています。例えば、あるお花屋さんでは真紅の薔薇(国産)3本で100円!これなら、彼氏は彼女に年齢と同じ数の薔薇を安く贈れますね。他にも、さつま揚げのボールが10個で100円!普段は倍以上の価格で販売しているのでかなりお買い得です。
私が購入したのは以下の5品
「生のサバ」 半身
「焼き鳥」 1本
「生姜の砂糖漬け」 1袋
「パパイア」 1個
「薔薇」 3本
こんなに買って500円ってすごくお得!
その場で食べられる焼き鳥と生姜の砂糖漬けは買ってすぐにいただきました。美味しかったです。食べきれなかった分の生姜の砂糖漬けと、サバ、パパイア、薔薇はお持ち帰りしました。言うまでもなく、夕食はサバの塩焼きとデザートにパパイアという組み合わせになりました。生姜は風邪予防に紅茶に入れて飲んでも美味でした。
お店の方とお話しながら買うのも楽しかったです。若い主婦の方や子連れのお客さんもいらっしゃいました。お買い物中の人に100円市について尋ねてみると、やはり北区の商店街では初のイベントだからなのか、百円市のことは知らずに来たけれどラッキーだったという人が多かったです。お客さんもお店の方も、百円市の取り組みは商店街の活性化につながると感じ、この企画に賛同していました。
田端銀座商店街では、戦後まもない時期から経営を始めたというお店や、三代続いているお店など、伝統ある家族経営のお店が数多くありました。しかし、現在では親の後を継いで自営業をするよりも、会社員として働く方が割がよいので、後継者を確保するのも大変なのだそうです。
シャッターが閉まっていたり、空地になっていたりする所もちらほら。特に商店街の端には多くありました。空地は商店街を盛り下げてしまいます。後継者の確保に困る商店街にとって、お客さんの確保だけでなく、新規参入するお店の確保も大きな課題なのかもしれません。
商店街はスーパーなどの大型店やコンビニチェーンなどの進出によっても経営的圧迫を受けています。でも、商店街が大型店のようになろうとしてもなれません。大型店との住み分け、共存が必要なのかなと思います。そのためにも、商店街独自の魅力をどこまでアピールできるかが今後の課題ではないでしょうか。
お店の方とお客さんの距離の近さは商店街の魅力のひとつだと思います。私がパパイアを購入するときに八百屋さんが「いつ食べるの?」と聞いてくださって、すぐ食べることを伝えると黄色く熟したものをわざわざ選んでくれました。普通の大型スーパーとかではこんなことなかなかしてもらえません。ちょっとしたことなのですが、商店街っていいなと思った瞬間でした。
また、お客さんが商品を購入して「帰りに寄るから置いといて」と頼んでいたことも、「さすが商店街!」と思いました。いろいろと融通が利くのっていいですよね。地域の人とコミュニケーションをとりつつ、買い物ができる。地域のつながりの希薄化にも歯止めをかけられるのではないでしょうか。
北区以外でも商店街では活性化のためにさまざまなアイデア企画を行っています。
例えば神楽坂の『まち飛びフェスタ』。これは神楽坂で街中を美術館に見立ててアートをしよう!という企画で、毎年多くの方がいらっしゃいます。近隣地域だけでなく、遠方にも発信する形での活性化。地域に密着するだけでなく、遠方からもお客さんをだなんていい意味でよくばりですよね。
他にも、名古屋市中村区の大門商店街では『大門エコ商店街』というキーワードのもとに、"エココイン"という商店街内で使える地域通貨を発行して商店街の活性化に一役かっています。このエココインとは買い物時にマイバックを持参したり、商品を簡易包装にしてもらったりするともらうことができます。商店街の登録店ならば普通のお金と同様に使えるので、商店街内の他のお店にもより足を運ぶ機会が増えます。商店街の活性化だけでなく地球環境にも配慮した一例ですね。
他にも独自の振興策をとっている商店街がたくさんあります。もしかしたらあなたの地元の商店街もなにかやっているかも。
人とのふれあいの温かさを感じる商店街。みなさんも機会があったらぜひ足を運んでみてください。お得な商品以外の'何か'も得られるはず・・!
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