珍獣たちが町おこし!? − 『シモキタハロウィン』

| コメント(0) | トラックバック(0)

 1031日(土)ハロウィンの日に下北沢で行われたイベント『シモキタハロウィン2009』のレポートです。仮装パレードに500人以上の参加者が集まる非常ににぎやかなイベントでした。

  10月に入って肌寒くなり始めるころ、街のあちこちでオレンジ・紫・黒の色彩をよく眼にするようになりますよね。目と口の彫られたカボチャなんかもあって、「ああ、もうすぐハロウィンなんだ」と感じますが、そもそもハロウィンって何のお祭りかご存知ですか?いつの間にこんなにイベントとして浸透したのでしょう。



  そもそもハロウィンとはカトリックの諸聖人の日(万聖節)の前夜祭の事を指します。こう聞くとキリスト教のイベントなのかなと思いますが、実際にはもともと古代ケルトの収穫感謝祭に由来する行事だそうで、イギリスやアイルランドで行われていたのがアメリカ合衆国に伝わり、さらに世界へ広がったのです。何をする日かザックリ言ってしまうと、仮装をして大騒ぎをする日といったところでしょうか。由来はどうであれ、日本ではそういうふうに捉えられているように思われます。

  日本国内では、海外からの映画や英語教材でその存在は知られていましたが、盛んになったのは1990年代以降で、首都圏から広がっていったようです。どおりで、福岡出身の筆者が子供のころはハロウィンに縁がなかったわけですね。実は今回の『シモキタハロウィン2009』への参加が私にとって人生初のハロウィンで、否が応でもわくわくしてしまいました。

  『シモキタハロウィン』は今年から始まったイベントで、『ヨクキタ!シモキタ!』によって開催されました。
  『ヨクキタ!シモキタ!』とは、下北沢の飲食店のオーナー・スタッフを中心にクリエーター・アーティスト・会社員などの下北沢を愛する人たちによってつくられた集団で、下北沢を盛り上げる活動を目標としています。
イベントのメインは仮装行列によるパレードで、さらにパレード参加者には協力店舗15店で各2杯ずつドリンクが無料で飲める「フリードリンクパス」が配布されるのです。なんとも太っ腹です。

  それでは、実際のイベントの様子です。

  20時にパレード参加者は下北沢駅南口に集合ということになっていたのですが、1930分には結構な数の仮装した参加者が集まり始め、20時には南口前の広場を参加者が埋め尽くす状態になっていました。参加者の数は500人を超えていたということです。
  仮装による気分の高揚のせいか、みな陽気にそれぞれの衣装についての話をしていました。偶然この場に居合わせた人たちは、目を丸くして参加者をケータイで写真に収めていました。

  参加者は20代から30代の男女がほとんどと言ったところでしょうか。飲食店中心で告知・開催されるせいか、日中の下北沢でよく見られる中高生の参加者はおらず、普段の街よりもやや平均年齢が高めだったのが印象的です。
ただ子供連れの参加者もいたため、小学校低学年くらいの子供の姿も見受けられました。また、外国人の参加者も多数いました。本国でのお祭りだからか仮装も慣れた様子です。

  本来、ハロウィンの仮装といえば魔女や怪物のような不気味なものが中心ですが、それだけにとらわれず、様々な仮装の参加者がいました。チャイナ服・婦警・メイド服・アニメキャラクターなど、コスプレの定番の仮装をした人が多く、日本でのハロウィンの普及に近年のコスプレ人気が一役かっていることをうかがわせます。

  その多く参加者の中でも最も存在感があったのは「珍獣ハンター・イモト」の仮装をした女性4人組でしょうか。仮装そのものはセーラー服に太い眉毛と決してハデなものではないですが、そのテンションたるや驚くべきものでした。ビデオカメラを向けている間中叫び続けて、元気っぷりは本物さながら。いや、4人いるので本物以上です。「今日のシモキタは珍獣がいっぱい。捕まえるぞー。」とのことでしたが、その後本当に全身タイツの外国人を捕獲しようとしていました。

  いっぽう、多くの参加者や見物人に写真を撮られていたのは、HONDAの二足歩行ロボットASIMOの仮装をした男性。本格的な仮装で、掛かった費用はなんと5万円!「年に1度のことだから」とおっしゃいますが、ハロウィンにかける意気込みに感服しました。

  ふとあたりを見渡すと、黄色ずくめの女装をした男性3人組がいます。一体何の仮装だろうと思って近づくと、女性アイドルグループ「Perfume」の仮装でした。「何の仮装だか分からないと言われる」ということでしたが、よくよく見てみると3人のメンバーそれぞれの特徴を捉えていて、どうしてなかなか似ています。
もっとも、まず「女装のおじさんたちだ!」という驚きをくぐり抜けたうえでのことですが。Perfumeの仮装は人気があるらしく、他にも女性3人組がいました。

  子供たちから「カッパだ!」と言われていた緑の全身タイツにクチバシをつけた集団は、下北沢のNPO「グリーン・バード」のみなさん。普段から下北沢の清掃活動をしており、今日はゴミを拾いながらパレードに参加するそうです。

  もし当日になって「仮装が間に合わなかった!」「思ったより仮装のインパクトが足りない!」という人も安心。協力店舗の「Café&Bar Comp.」や「pebble」で、特殊メイクも実施されました。
普段映画などの特殊メイクをされているメイクさんに、鉈(ナタ)で切られたような傷口をつけてもらえます。(もちろん血糊で)他にもゾンビのような顔色にしてもらったり、猫の口をつけてもらったりといった様々なこことも相談に応じてしてもらえます。価格も500円~と、チャレンジしやすくなっていました。(とは言え、ほとんどの人は興味深そうに眺めるだけで、利用者の中心は近隣店舗の方や常連さんでした)


  さて、2030分からパレード開始です。下北沢駅南口前を出発して、協力店舗を巡りつつ駅の南側のエリアを大きく一周してまた駅に戻ります。
  土曜日の夜ということもあって下北沢の街は人通りが多く、パレードを見物する人の数も相当な人数になりました。パレードに出くわした人の多くは、今日のイベントのことを知らず驚いていましたが、「下北沢らしくていいと思う。来年もあるなら参加したい」「フリードリンクチケットもらえるの?参加すればよかった」と好意的で、来年の開催も望む声がほとんどでした。協力店舗以外でも沿道のお店の店主が顔を出したりと、町全体に一体感が感じられました。

  下北沢の狭い道路の中で行うということで、自動車などの交通の妨げになるのではないかという懸念はありましたが、狭い道であるためもともと車通りが少ないことと、主催者側の誘導があったおかげで大きなアクシデントは起きませんでした。
数千人規模のパレードではそうはいきませんが、今回のような規模ではかえって狭い道路のほうが向いているのかもしれませんね。

  パレード終了後はフリードリンクパスの配布がありましたが、主催者の予想した300人を大きく上回る参加があったためにパスが足りなくなるというハプニングもありました。
  配布後、参加者はフリードリンクパスを持っておもいおもいに協力店舗へと消えてゆき、長い夜を過ごしたようです。

  記事後篇に続く~

前の記事 | 次の記事

« 警備員のマイクパフォーマンスも! 大混雑の『隅田川花火大会』体験記

『シモキタハロウィン』 - 後篇 »



トラックバック(0)

トラックバックURL: http://angles.jp/MT-4.24-en/mt-tb.cgi/57

コメントする

最近の記事

東京の空の玄関が変わる - 国際化する羽田空港を一足先に体験
国際化へのカウントダウンが始まった東京の…
日本の空が変わる? - 羽田空港国際化をキャビン・アテンダントもアピール
国際化に向けて羽田空港は今大きな発展を遂…
ミシュラン3ツ星の高尾山に幻のムササビを追う!
「天狗の山」とミシュランミシュランで富士…
ドトールではSサイズを買え? ー 賢い消費者って何だろう
人事ではない「経済学」「経済学」という…
ちょっと一息 - おサルさんの赤ちゃん(ふたご)
2010年、猛暑の夏。昼下がりに訪れた動…

ピックアップ記事

東京まちかど調査 ー "モテ期"は実在する!?
モテメイクにモテファッション。モテヘアー…
クッキーから温暖化対策まで ー ミドリムシは地球を救う?
こんにちは野龍です。今回は微生物の話です…
"ワッハッハー"で元気はつらつ!? - 『笑いヨガ』 初体験ルポ
■さあ笑えっ!って、どうやって? The…
都会にサケが遡上!? ヨコハマに鮭を追う!
   北風の吹きすさ…
年収1,000万円も夢じゃない! 『紙芝居師オーディション』
「年収1,000万円以上」 働く人の多く…
東京の"奇祭" - 『雷の大般若』
 赤やピンクの華やかな長襦袢。 透き通る…
M-1よりおもしろい!? 『D-1だじゃれグランプリ』
「布団が吹っ飛んだ」 「コーディネートは…
パリコレならぬ オムコレ!? 『おむつのファッションショー』
  最近めっきり涼し…
バブルの殿堂『ジュリアナ東京』 完全復活の夜に密着!!
「ジュリアナーーーズトーーキョーーーー!…
東京に"絶滅危惧種"が出現!? - 荒川の干潟に『トビハゼ』を追う!
「トビハゼ」を皆様はご存知だろうか? 午…
フォークダンスで少子化対策!? 『国際ダンスデーフェスティバル』
 「ジェンカ」や「マイム・マイ…
寒空の下で愛を叫ぶ! ある『愛妻の日』の出来事
 1月31日が何の日かご存知でしょうか。…
あー抜けない!! 第1回『練馬大根・引っこ抜き大会』の全貌を追う!
 小さいころ両親に連れて行ってもらった山…
サメやマンタと乾杯!? 水族館でボジョレー・ヌーボー解禁!
  11月15日はフ…
究極の癒し(?)『耳かき』ブーム到来!
街にクリスマスムードがあふれるなか、「何…